漠然とした不安というのは、突然、やってきたりする。
朝起きて、しばらくした時から、なんとなく、心がザワザワしている。
心の奥の方が、どんよりと重い。
そんな時は、目に見えるものが、不安を大きくする種として育ちやすい。
私は、昨日の朝、そんな感じだった。
自分の足にシミを見つけ、もしそれが良くないものだったらどうしようと無性に感じた。
今朝になってみたら、それはただのシミだろう、今度皮膚科に行った時に、ついでに聞いてみるか、くらいに思う。
ただ、昨日は、自分が病気になることに対する不安な気持ちが、また顔をのぞかせていた。
不安がやってくると、
背中の辺り一面に、スライムのような粘性のあるものが張り付いているような、
もしくは、黒っぽい煙のようなものが、背中一面を覆っているような、
また、お腹の底の方にも、見えない渦があるような、
胸の奥の方をたどっていくと、背中からはみ出した背後に、暗い重い空間があるような、
そんな感じで、不安はやってきて、そしてなかなか離れない。
そんな時は、自分で自分に問いかける。
私は、何がそんなに怖いのか。
不安に感じている自分を、否定しない。
そうだね、私は、自分が病気になってしまったらどうしよう、と不安なんだね、
そして死んでしまうことが怖いんだね、そりゃそうだよね、怖いよね。
今、何かそのことで、具体的にできることある?
そうだね、病院に行って、見せてみたらいいよね、そうしたら、全然大丈夫ってわかるかもしれないし、
もし良くないものだったとしても、何か対処して、きっとそこから良くなるよ、大丈夫。
それでも、もしダメだったら、それもきっと何か意味があるはずだよね。
人生に、意味のないことなんて、何ひとつ起こらないんだもんね。
そして、なんとなく、私は、まだまだ生きそうな感じがするよね、心の奥では知ってる。
私は、こんなに健康だよ。
食べるものも、気をつかっているし、ストレスもすぐに手放して、
自分を幸せにする、と心に決めて生きているよね。
そんなふうに、自分を冷静にさせる。
なのに、頭ではわかっていても、不安な時というのは、なぜかどうしようもなく、不安が消せない。
今回のような時なら、行けるなら、さっさと病院に行ってしまうのが一番いいのかもしれない。
だけど、多分、根本的な不安の元というのは、そこにあるままだろうけれど。
不安の元というのは、もしかしたら、トラウマかもしれない。
過去の記憶かもしれない。
よくわからないけど、もしかしたら、前世の記憶かもしれないし、DNAに染みついた先祖代々の記憶かもしれない。
それとも、もっとよくわからないけれど、もしかしたら、集合意識から無意識に読み取っているのかもしれない。
よくわからないことが多い。
不安がどこからくるのかよくわからないが、
自分にできそうなこととしては、過去のトラウマ的な出来事を癒していけば、軽くなっていくのではないか。
心が許すなら、それに向き合ってみる。
過去に、うまく感情を味わいきれずに、覆い隠してきた感情があるならば、それを改めて味わっていく。
なんとなく、感情というのは、「時間」という概念から外れたところにあるように感じている。
時間が経ったからといって、きちんと味わうことのなかった感情は、風化されず、昇華(消化)されていくこともないように感じる。
だから、生まれてきた感情は、味わってくれない限り、体の中のどこかの空間にしまわれたまま、消えずに残っているように思う。
私は、それに気づいた頃から、昔の自分が、無かったことにしてきた過去の感情を、たびたび味わってきた。
それらは、大抵、頭では理解できている。
理屈では、どうしてそんなことが起きているのか、理解できるし、相手の行動も理解できる。
ずっと、そうやって成長してきた。
だけど、私は、いつだって、自分の気持ちを、後回しにして置いてきたのだ。
それに、気づくこともなく。
いつだって、相手や、状況を理解することを最優先にして、「自分の感情」に目を向けるのを忘れていた。
不安というものが、どこからくるのか、わからない。
なぜやってくるのか、も、よくわからない。
ただ、私は、不安を感じた時には、そんな状態を否定せず、認めてあげるようにしている。
そして、できるだけ、外に出てみたり、家事をしてみたり、テレビを見てみたり。
不安な気持ちも、抱えたまま、そっと自分を揺らしてみたりもする。
ずっと以前、不安だった時の私に、夫が言った。
「そういう時は、やり過ごしていくんだよ。やり過ごす方法を学ばないといけない。」
本当にそうだ。
そういう時もある。
やり過ごしていく方法を学ぶんだ。
そして、また、朝がくる。
今朝は、ただ眠って起きただけなのに、あの昨日の、不安な気持ちは、どこかに消え去っていた。
嘘のようだが、頭の中は、少しだけキラキラとしていて、芸能人の買い物動画を見かけて、こういうのも素敵だな、などと思えた。
私たちは、生きているのだ。
そういう時も、ある。

