我が家の計量カップの話をしたい。
私は、長年の貧乏症から、ずっと100円ショップの計量カップを使ってきたが、なぜか、ある日突然、嫌になった。
買い替えようと思い立ち、透明なガラスに赤い字で「ANCHOR」と書かれたアンカーホッキングのメジャリングカップを半年前に購入した。
250ml程度が測れる使いやすいサイズ。
厚みがある透明なガラスに、赤い文字と赤い線が描かれていて、長年使うほど、愛着が増しそうなデザイン。
私はそれを、半年ほど愛用してきた。
本当に可愛らしいやつで、手に握るガラスの取手もちょうどよく、
キッチンに出しっぱなしにしてしまう億劫な私でも、素敵なキッチンに見せてくる(?)ポテンシャルの高さ。
本当に気に入った計量カップで、大満足なんだが。
実はひとつ、引っかかっていた。
卵焼きを焼くときに、その計量カップで卵をといてみた。
卵3個。砂糖と醤油をいれてかき混ぜる。
混ざらない。
混ぜるとこぼれる。小さすぎるのだ。
こぼれないようにかき回してみたが、そんなんでは何も混ざっていない。
こんなことでは、料理が上手でもない私の料理が、ますます滑稽なものになる。
ボールを使って卵を混ぜるようにしていたが、キッチンで洗い物が増えるのは嬉しくない。
だから、あれからずっと、少し大きい計量カップが欲しかった。
卵3つ入れても、シャカシャカできるやつ。
そのままキッチンに出しておいても、大丈夫なやつ。
あと、お湯を沸かすときや、加湿器に水を運ぶときにも使えると便利だな。
あとそもそも、私が悪いのだが、私は、調味料を作るときに、よく困っていた。
レシピに書いてある材料を、計量カップに直接どんどん加えていき、調味ダレを作ろうとするから、
作り始めた後で、さらに「100mlの水を入れる」という指示がきた日には、詰んで終了する。
あの時、さっさと100円ショップの計量カップは捨ててしまったので、計量カップで調味料を作り始めたら、もう100mlを図る術がない。
だから、常々もうひとつあれば便利だな、と思っていた。(計量カップで調味料をあわせなきゃいいんだが)
せっかくだから、大きいのを買おう。
そして注文した計量カップ。
その計量カップも、分厚い透明ガラスに赤い線。
私はこういうのが気に入っている。
それが昨日、うちにやってきた。
ダンボールの段階で、想像よりだいぶ大きい箱で、どっしりと重い。
私は、なにかを間違えてしまったのかもしれない。
恐る恐る開けてみて、対面してみた計量カップ。
でかい。・・・どう見ても、でかい。これ、でかすぎない?
いや、どうだろう。
ちょっと、とりあえず、今日は忘れよう。
そして明日の朝、もう一度見てみよう。
あくる朝。
夫が言った。
「あの計量カップ、いいね。おじさんみたいで」
おじさん?
一体どこらへんが。
どこらへんがおじさんだった?
聞いてみても、本人にも説明できないようで、なんとなく、おじさんだと主張する。
子供が、いや犬だとかなんとか、朝から我が家はどうなってるんだ。
とにかく、どうやら、我が家のおじさんは、この新しい「おじさん」を気に入ったようだ。
頼りになりそうなシルエットで、どっしりと安定している。
この新顔を手に、
「よく、おじさん洗っとこう」
とか思いながら、食器を洗う。
我が家に、おじさんがやってきた。
