カフェオレ以上の焼き菓子

日常

私は今年、マウスピース矯正を始めた。

行きつけの歯医者さんで、虫歯治療をして被せ物をしようという段階で、私の場合、歯軋りで歯がだいぶ削れてしまい、被せ物を取れないように付けるには工夫が必要らしい。

そこで、矯正を提案されたのだ。矯正で歯が動いてくると、歯の高さがもう少し出てくる可能性が考えられるという。

矯正なんて子供時代にしたことがなく、これまで考えたこともなかったが、矯正をするか迷い始めたら急に、歯並びまでガチャガチャに見えて、これもついでに綺麗になるなら、やってみる価値はあるかもと思った。

しばらく考えた結果、私は、いい年にして初めて、インビザラインのマウスピース矯正をすることにした。

今年の6月からマウスピースをつけ始め、19週分のマウスピース矯正がちょうど終わった。

だいぶ、整ってきたが、まだ少し気になるところもちらほら。

先日、その矯正チェックに歯医者さんに行き、もう少しだけ微調整のために延長をすることになった。

延長に向け改めてレントゲンをとり、次のマウスピースを作ろうとしたところで、今度は虫歯が見つかった。

毎日、毎食後すぐに歯磨きとフロスをしていたのに、やっぱりマウスピースをつけていると虫歯リスク上がるんだな。

そういえば、私は、マウスピースをしたまま、たまにカフェオレを飲んでいたことを自白します…。

午前中10時ごろに飲むことが多い。その1〜2時間後に食事だから、そこではマウスピースを外して、食後には歯磨きをするし大丈夫かなと勝手に飲んでいた。

歯医者さんには、水しか飲むなと言われていたのに、勝手に飲んでたから、まさに自業自得。

ここで言い訳をするなら、1日22時間マウスピースをつけていることが困難なのだ。

食事は1日3回取るから、間食はしないとして、大体1回の食事に40分かけられる。ただし、食後の歯磨きに10分はかかるから、実質30分。

さっさと食事をして、黙々と歯磨きとフロスをしてマウスピースをつける、という流れが、ぼんやり食後のコーヒータイムとかしているとあっという間に過ぎていく。

多少なら、22時間を切っても大丈夫なのではないかな、と思い、のんびり食事をしていたら、多分21時間半くらいになった週に、「きちんと22時間つけていますか?」という指摘が入った。

なんと恐るべし。30分短かっただけで、バレるとは…。

そこからは、仕方ない。私は、食事はあっという間に済ませ、朝食のすんだ午前中にカフェに行き、マウスピースをしたままコーヒーを飲むという暴挙に出た。

大抵、流石にブラックコーヒーだが、たまに調子に乗ってカフェオレを頼んでしまっていたのである。

歯医者さんにはとても言い出せない雰囲気だったから、私の胸の中だけにしまっておくことにする。

それはそうと、今回すごいなと思ってしまった。

その虫歯になった歯は、前から、詰め物が少しフィットしていないように見えて、何度か歯医者さんに相談していた歯なのだが、当時は虫歯になっていないので、そのままになっていた。

虫歯になっても、なるほど、と思うところしかないが、今回は、タイミングがとてもよかった。

今回マウスピース矯正の延長を希望したから、チェックのレントゲンを撮ってもらうことになり、そこで偶然にもその虫歯は発見された。

まだ痛みもないし、次の歯の定期検診はまだだいぶ先だった。

さらに、虫歯があるとわかった瞬間に、たまたま歯医者の先生の次の日の予約にキャンセルが出たのだ。

その先生の予約は、いつも大体1ヶ月は取れない。

ラッキーだと思いながら、治療に行こうとしたその朝、今度は歯磨き後のフロスで、虫歯の歯の詰め物が一部欠けてとれてしまった。

これも、今日でよかった…と思った。

なんか、私はツイている、を実感する。

これって、シンクロニシティってやつだろうか。

考えてみたら、自分の好きなことを自分に許可することが増えるほど、そうした偶然の一致というのは増えていくような気がする。

そんないい気分を感じながら、これからはマウスピースを外した時にカフェオレは楽しむようにしよう、と心の中で思う。

そして、そんな日の夜。

息子の習い事についていくと、そこにいた幼稚園児の女の子に、「はい」と、はにかんだ笑顔で差し出されたのは小さな焼き菓子。

そんなかわいい女の子が、私にまで、大事なお菓子を差し出してくれたことが嬉しくて、こんなの断れるわけがなかろう。

私は、「いいの?ありがとう〜」と言って、ありがたく、そのまま食べた。

マウスピースを目の前で外すのもなんだし、私はそのまま口に入れた。

女の子が、嬉しそうに笑ってくれた。かわいい。

マウスピースしたままカフェオレ飲まないぞ、と心に決めてから数時間、カフェオレ以上の焼き菓子を、マウスピースしたまま食べてしまった。

速攻で破ってしまった私だが、女の子の優しい気持ちに応えられる私でよかったと思う。